大阪市東住吉区の保育園で、給食を食べた園児12人と職員5人が発熱や頭痛、じんましんの症状を訴え、給食のメニューにあった「マグロのパン粉焼き」からヒスタミンが検出され、食中毒であったことが分かりました。
食中毒のニュースはよく聞かれますが、何となく「夏」に起こりやすいものというイメージがありますよね。秋も深まった時期になって食中毒とは少し意外な気がします。
「食中毒にかかった事があるか」という調査を行ったところ、実に4割の人が食中毒を経験しているというのです。
今回は、食中毒にかかりやすい時期や症状などを調べてみました。
食中毒は、実は1年中かかる可能性がある
驚きの結果じゃないですか?1年で1番食中毒にかかりやすいのはなんと「10月」なんですね。真夏より多いんです。
少し暖かくなってくる4月が1番少ないのも、何だか意外です。1月も2月も真夏並みに食中毒は発生しているのです。気を付けなければいけません。
食中毒の代表的な症状をお肉に絞ってまとめてみた
食中毒は、人の体にとって有害な微生物や化学物質を摂取してしまった時に、健康を害してしまう事です。
よく「食べ物にあたって」食中毒になったというニュースが流れ「細菌」が原因になっているというイメージがありますが、食べ物にあたった場合でも、原因が「ウイルス」の時もあります。
そしてキノコ類からかかってしまう「自然毒」という場合もあります。
代表的な症状としては「腹痛」「下痢」「嘔吐」といった胃腸に表れる症状や発熱などがあります。
私の母はかつて「さつま揚げ」にあたって救急車を呼ぶ事態になった事があります。
食中毒になると、きっかけになった食べ物をその後食べる勇気がなくなってしまい、食のストライクゾーンが少し狭まる気がして残念ですね。
お肉は食卓に欠かせない食材で、使用する頻度もとても高いのですが、その分危険度も高いと言えます。
しょっちゅう使うので気が緩みがちですが、調理には気を遣わなくてはなりません。
牛肉により引き起こされる症状と予防法
牛の糞などが牛肉やその他の食品に付着し、それを食べてしまう事によって起こります。
牛肉で特に注意しなければならないのは「生レバー」です。生レバーについては焼肉店で重篤な事態に発展した事例があったことで、最近見かけることはなくなりました。
レバーからは腸管出血性大腸菌(O157など)が検出された事例があり、生で食べることはとても危険です。
腸管出血性大腸菌(O157) による食中毒の症状ですが、潜伏期間は4~8日と比較的長いため、最初は食中毒とは思わないかもしれません。激しい腹痛の後に下痢、血便に至り、合併症を引き起こし死に至る場合もあります。
腸管出血性大腸菌(O157) の予防としては、75℃で1分間加熱する事です。これ以外にも、買ってから早めに使い切ること、買う順番は買い物の中で1番最後にするなど、鮮度を意識した扱いが大事です。
豚肉により引き起こされる症状と予防法
豚肉は、とりわけ細菌が多いという事は知られていますので、生で食べる人はほとんどいないでしょう。
豚肉により引き起こされる食中毒としてはE型肝炎ウイルス、サルモネラ症、カンピロバクター食中毒、エルシニア食中毒、トキソプラズマ症があります。
E型肝炎 ウイルスは、E型肝炎に感染した豚を食べたことから人に感染し、腹痛や発熱の他に、黄疸が表れることがあります。場合によっては劇症肝炎で死にいたることもあります。
サルモネラ症 は、サルモネラ菌によるものです。この菌の名前はわりと聞いたことがあると思いますが、多くの動物の腸内にある為、豚の腸内にも存在します。
サルモネラ菌を持つ豚が増加しているという報告もある為、調理には充分注意が必要です。症状としては、8~72時間後に腹痛、下痢、38℃程度の発熱といったところです。
「お腹が痛くて下痢をした」で終わっている事も、もしかしたら豚肉の食中毒だったのかも知れません。
カンピロバクター食中毒はとても怖い症状です。
2~5日後に表れる症状は、腹痛や下痢といったものですが、この症状が治まって3週間後くらいに突然、筋力が低下し歩行が困難になり、顔面の神経が麻痺するという難病「ギランバレー症候群」を引き起こすことがあります。
女優の大原麗子さんがこの「ギランバレー症候群」でしたよね。大原麗子さんのように、死に至る事もある重病ですので、豚肉の取り扱いには気を付けなければなりません。
エルシニア食中毒 は、エルシニア菌という、豚の約20%が保菌しているという菌からの食中毒ですが、こちらはまれに敗血症を引き起こす場合があります。
敗血症とは1つの病名ではなく、感染により体の器官の働きがどんどん低下していく事の総称です。
敗血症は死に至ります。そしてこのエルシニア菌は、4℃以下の低温でも増殖するので、冷蔵保存だからといって安心してはいけません。
トキソプラズマ症 は、猫にも存在する寄生虫として有名ですが、豚の体内にも存在します。
通常は食べても問題ないのですが、妊娠中にトキソプラズマが寄生している豚肉を食べると、胎児が先天性トキソプラズマにかかることがあります。
生まれた後に神経障害や運動障害を起こしたり、流産や死産の原因にもなります。
豚肉は充分すぎるほどに加熱して食べることはもちろん、妊娠中は猫との接触も避けた方がベターでしょう。
鶏肉により引き起こされる症状と予防法
加熱不十分な鶏肉を食べることで起こる最も恐ろしい感染症は豚肉と同じ カンピロバクター食中毒 です。豚肉だけではなく、鶏肉にも存在しています。
鶏肉は安価で手に入れやすく、また居酒屋などでも「焼き鳥」として口にする機会がとても多いため、理由なく安心してしまっているところがありますが、実はこんなに恐ろしい感染症の可能性を秘めているのです。
予防法としては、中心部分の温度で75℃を1分間加熱、ということですが、加熱し過ぎという事はないので、1分にとらわれず、よく火を通してから食べることが大切です。
まとめ:お肉による食中毒の症状は思った以上に重いものだった
家庭での食卓で出されるお肉は、家族みんなで食べる為、同じものを食べても抵抗力の弱い子供やお年寄りには症状がひどく表れます。
また、睡眠不足などで抵抗力が落ちている時であれば、大人でも症状は重篤になります。
最近は焼肉屋さんでも、お肉をつまむトングと、焼けたお肉を取るトングは別のものにしたりという配慮が見られます。
家庭でも「炒めて食べるからいいや」ではなく、「細菌が死滅する温度」という観点で調理を心がける必要があるのではないでしょうか。