こんにちは。今回はtanokunの息子「ミスターT」が執筆いたします。
「鼻中隔湾曲症」という病気を知っていますか?「びちゅうかくわんきょくしょう」と読みます。ひどい鼻づまりや鼻水で、鼻としての機能をほぼ果たしていないような状態になります。
実は生まれつきこの病気だった私ですが、はっきりした病名を知ったのは20歳になってからでした。
「鼻中隔湾曲症」は、今は日帰り手術で治せる病気になっています。
「鼻中隔湾曲症」の手術を受けたことで私の人生はまさに180度変わりました。「人生バラ色」ってこういう事なのかと実感しています。「生まれ変わる」ってこういう事かも、とも思っています。
ひどい鼻づまりや鼻水に悩んでいる人にはぜひ参考にしてもらいたいです。
今回は「鼻中隔湾曲症」の症状や日帰り手術の内容について、詳細に書いてみたいと思います。
鼻詰まりがひどくて味覚がない人は、やってみる価値あるかも
鼻中隔湾曲症の手術をするべきかどうか ~見極めポイント2つ~
私は「鼻中隔湾曲症」だけではなく、重度のアレルギー体質でもありました。ひどい鼻づまりはアレルギーのせいだと思い、これまでアレルギーの治療をしてきました。レーザー治療や舌下免疫療法なども試しましたが、今一つ効果はありませんでした。
今にして思うと、鼻づまりは「鼻中隔湾曲症」によるものだから、効果がなかったのだと分かります。
「鼻中隔湾曲症」の手術を受けるべきかどうか悩んでいる人は、以下のチェックポイントを読んでみて下さい。
点鼻薬を使いすぎるくらいに日々使用しないと鼻が通らない
一番鼻水鼻づまりのひどい季節はやはり春。花粉症も相まって、鼻水が滝のように流れ続ける日々でした。家族で食事に出かけても、食べたものの味が分かりませんでしたが、子供の頃からそうだったので当たり前に過ごしていました。
その頃、肌身離さず持っていたのが「パブロン点鼻薬」でした。数ある点鼻薬の中でも、パブロン点鼻薬は即効性があり愛用していました。1日1~2回と容器に書かれているにも関わらず、私は1時間おきに両方の鼻に1回3噴霧ずつしていました。そうでなければ鼻がつまって何もやる気にならなくなるからです。
今回「鼻中隔湾曲症」の手術前診察の際、担当医に「市販の点鼻薬は強すぎて結局鼻が腫れる。腫れると余計詰まる。治したければ使わない事」と言われました。なければ生活できないほど依存していたので、大変なショックでした。ただ、使用法を守らないと結局は体に悪影響だという事ですね。
このように、1時間ごとに点鼻薬を使わないと鼻が通らないような人は、手術を受けた方が良いでしょう。
鼻が詰まっていつも機嫌が悪かったよね
アレルギーの治療をしても効果がない
冒頭でも書きましたが、私は重度のアレルギーでもあります。正常な人の10倍の数値で反応しているものもあります。そこで、子供の頃からアレルギーの治療をしてきました。
舌下免疫療法
アレルギー物質を含んだ錠剤を舌の下に置いて溶かし、徐々に免疫を付け症状を改善させる方法です。
これは3年というかなり長い時間をかけてゆっくりやる治療で、月に1回の受診が必要になります。
薬を長期間飲まないといけないのと、受診料がかなりかかるので正直私には合わないと思い、途中で断念してしまいました(笑)
副作用ももちろんあり、薬の服用後に口の中が腫れて個人的にはかなり不快感がありました…
ただ「手術は嫌だ」という人には薬を飲むだけなのでいいかと思います。
ただし20%の人は治療後も効果が見られなかったとのデータもあります。まだ新しい治療法なので、これから更に進化していくのでしょう。
レーザー治療
これは鼻粘膜の表面にレーザーを照射し、アレルギー反応によって腫れていた粘膜を固まらせる治療法です。
粘膜が固まると鼻の中の空間が広がり、鼻づまりが解消します。更にレーザーが照射された部分は水分が失われるので、花粉が付着したとしても抗原が生体内に入りづらくなり、くしゃみや鼻水も抑えられる、と言われています。
私もこの治療をしましたが効果は感じられませんでした…
この治療のメリットは「術後の副作用が比較的軽く、通院も舌下免疫療法ほどしなくてもいい」ところです。こちらも80%ほどの人は症状の改善が見られましたが、効果が半年~2年ほどしか持たないという点が合わないなと感じました。
ただ暫定的にでも症状の改善が見られる人が多くいるので、とりあえず今すぐ短いスパンで症状の改善を求めている人にはオススメかもしれません。
私はこの2つの治療法をどちらも試しましたが、効果を感じられませんでした。残るは「手術」しかない、と考えました。
子供のうちは鼻が成長するから「手術」は出来ないんだよ
鼻中隔湾曲症の日帰り手術 ~術前検査から術後まで~
こうして鼻中隔湾曲症の手術を受ける事を決めました。私は和食の料理人をしています。味が分からなかったり、お客様の前で鼻をズルズルさせるわけにはいかない事もあり、手術を受けられる年齢になったら早めに受けようと思っていました。
鼻中隔湾曲症の手術は、鼻の成長が止まってからでないと受けられない手術です。中学生の頃からうっすらと受ける気持ちはあったのですが、成長期で当時は受けられませんでした。
鼻中隔湾曲症の日帰り手術を受けた病院は「鼻のクリニック東京」
鼻中隔湾曲症の手術は、鼻の骨を削ってまっすぐに強制することで通りを良くする、といった手術です。余談ですが鼻中隔の湾曲は成人の80~90%の人がなっているらしいです。つまり程度によっては日常生活には問題がないんですね。
残念ながら重度の湾曲だった私は、手術を受けられる病院を探し始めました。
そもそも「鼻中隔」は鼻の左右を分けている壁の事で、上下に支えている薄い骨と間にある軟骨から出来ています。手術の方法は鼻の入口の外から見えない所を切開して軟骨、骨の一部を除去します。
こうした手術はどこの耳鼻科でも出来る、というものではありません。しかも私は仕事をなるべく休まないよう「日帰り手術」を選択したので、さらに手術が出来る病院は限られています。
そんな中私が決めたのは「鼻のクリニック東京」でした。もう、名前からして鼻の権威である事が一目瞭然(笑)病院のマークも大きな鼻のマークでしたから(;^_^A
大変きれいな病院で、病院ではなくホテルのようでした(笑)私はこれまでこんな素敵な病院に通った事がないので、とてもびっくりしました。
結果から言うと、大変良い手術内容で安心して日帰り手術を受けられ、選んで大正解でした!
すっごくきれいな良い病院で良かったね!
初診は検査で鼻の状態を確認
初診では、問診の他に内視鏡やCT画像で鼻の状態を確認します。正直自分で見てもぞっとするほど左の鼻の空間が狭かったです。病院に行くまでお守りのように慢性的に使用していた点鼻薬「パブロン」の使い過ぎで粘膜の腫れがひどかったです。
担当の先生は、こうした事例をいくつも扱っている事もあり、落ち着いて丁寧な説明をして下さいました。担当の先生が手術も行うので、先生との信頼関係は不可欠です。穏やかな先生で、安心して手術をお願いできると感じました。
初診から1ヶ月間、鼻うがいと病院から処方された内服薬、点鼻薬を使用して経過をみます。余談ですが鼻うがいはコツがいります。最初は失敗して鼻がツーンと痛く、絶叫してしまいましたが、これも良くなる為の過程と思い「鼻うがい修行」に励みました。きちんと出来るようになると、鼻うがい後はずいぶんと鼻がスッキリします。鼻うがいの方法についてはこちら
話を戻しましょう。私は今まで内服薬などで鼻が通ったという経験がないので期待はしていませんでしたが、案の定1ヶ月経っても症状の改善が見られなかったので「手術が必要」と判断されました。
手術前オリエンテーション ~手術は全身麻酔~
手術を受ける事が決まったら、手術の日にちを決めます。手術日に合わせて事前に「手術前オリエンテーション」をします。鼻中隔湾曲症の手術は通常、入院して行い術後の様子を見るものです。なので日帰りで手術をする為には、その分気を付けなければならないことが増えます。
担当の先生と看護師さんを交えて、手術に関する諸々の説明を受けます。手術は全身麻酔の為、術前の制限がかなり厳しかったです。手術前日の食事の量や水分の摂取量、また嗜好品の禁止など、なかなかキツイ内容でした(笑)
コロナ渦という事もあり、後日病院でPCR検査も受けました。ここで陽性がでてしまうと、検査が1からになってしまうと言われていたのでドキドキでした(笑)。
実際の手術に至るまでに、病院に通った回数はオリエンテーション含め4回ほどだったと思います。忙しくても、この時間はやりくりして捻出するしかありません。すべては「夢の鼻呼吸」のため!
手術当日
朝8時過ぎには病院に到着するよう言われます。それが間に合わなかったり、遠方の人は近くにホテルをとるよう指示されます。手術当日は長距離の移動は避けた方が良いからです。
私は母が車で付き添ったので、朝病院に入り術後そのまま帰宅しました。手術前は個室を用意され(これがまたホテルの部屋みたい!)付き添いはここで待機します。先生が様子を見に来て下さり、検温をして問題なければいよいよ手術です。
手術自体が人生初だったのでドキドキしていましたが、全身麻酔をする際に「数を数えて下さい」と言われました。1、2、3…と数えていき、6を数えた時点で意識が飛びました。
そして次に目が覚めたら手術は終わっていました(笑)
施術は時間にして2時間位だったそうです。これも病院や個人によって差があります。
全身麻酔で意識がもうろうとしているので、術後しばらくの記憶はあまりありません。ただ、体にくる激しい倦怠感と、鼻の奥にぎゅうぎゅう詰めにされた止血用の綿の違和感で気分は最悪でした。
手術そのものより術後の方が辛い
術後1週間、止血用の綿を詰めたまま生活をしなくてはならず、あの一週間は本当に辛かったです。もし、お金を払うからもう一度あの一週間を経験してくれ、と言われたとしても絶対に嫌ですね(笑)
コロナ禍でマスク必須の生活だった為、他人には見せずに済みましたが、ぎゅうぎゅう詰めの綿で、鼻は相当不格好でした。こんな鼻のままになってしまったらどうしようと思うくらいに。まれに出血が止まらなくなる人もいるらしいので、とても苦しいですが、「鼻の奥の綿」生活は我慢して続けるしかないのです。
この一週間は、違和感と不快感で睡眠もろくに取れませんでした。仕事の関係もあって鼻がこんなにも機能しないのが辛いと思った事はありません。
匂いのある生活ってバラ色なんだ! ~手術1週間後~
地獄のような1週間を乗り越えて、詰め物を抜く処置をします。この時は局所麻酔で、鼻の中から異常な量の綿が出てきたのを見た時には「こんなものを入れて1週間生活したのか俺は…」と思い感動すら覚えました。
鼻の感覚が戻ると、そこには今までとは全く違う「匂いのある世界」が広がっていました。比喩でも何でもなく、本当に「人生が変わった」思いでした。食べ物の味も今までより何倍も強く感じられ、睡眠時もいびきが改善されました。何より鼻をかむ頻度が劇的に減りました。
そこから1ヶ月して経過観察のために受診してOKが出たら、もう病院に行く必要はありません。私はもうそろそろ手術から1年が経ちますが、手術をして本当に良かったと思っています。
鼻中隔湾曲症の手術費用は「高額医療」の対象 総額の1/3程度の自己負担
気になる手術費用は、トータルで約30万円ほどでしたが、所属の健康保険組合に事前申請すれば「高額医療」の対象となり、実際の費用はその1/3ほどで済みます。これは事前のオリエンテーションで説明してもらえます。母に感謝です…(笑)
ただ、保険会社の保険金請求の対象になるかどうかは微妙です。「日帰り手術」は「日帰り入院」とは違うからです。加入の保険を調べてみると良いでしょう。
まとめ:長年鼻づまりに悩んでいるなら診察をおすすめします
今まさに鼻炎に悩まされている人は、一度問診とCTを取ってみるだけでもオススメします。鼻のつまりは他人には絶対に理解できない悩みです。眠りが浅くなったり、集中力が落ちたりと、弊害も様々あります。
周りの人が何を言おうと、自分自身が辛いと感じているならばまずは細かく診てもらうだけでも何かが変わるかもしれません。